普遍化のすすめ
第1章 実在は一つ「仮説検証による統一的理解」
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1.内的なエントロピーの拡大
二十世紀初頭から始まった科学技術の指数曲線的な展開は、様々な社会における豊かな生命の広がりを実現しつつあり、内なる真我の働きのための嬉しい前進の一つになっています。この科学技術による人間の生命力展開の足取りは、人間の未来を希望に満ち溢れる確かなものに向けて牽引して行く強靱な力強さをも兼ね備えています。
しかし一方では人間の心の働きや知性の限界を超えるような様々な社会現象が多くの領域に発現しつつあります。多くの社会領域における混沌は、先進領域から始まって既存領域へ波及し生活全般にかかわる価値観の混乱を引き起こし、世界中がどう判断しどう行動してよいかに迷って、掴み切れない未知なるものの周囲を巡って本質に届かず右往左往しているように思えます。
一般に社会は、比較的短い期間を通して宗教的あるいは思想的混乱から政治的混乱に、そして経済的混乱を経過しつつ、緩やかな秩序の回復に向かうもののように思われますが、しかし振れ幅の大きい思想的な混乱は「条件つけ」の慣れ込み現象に対する驚きを素因として、安定している社会には特に厳しい変化を惹き起こします。そしてその分だけ選択対象を増幅し人類の進化にとっては望ましくも厳しい重要な転換が期待できるのも事実だと思われます。
このようにして科学技術が画期的進歩の引金となって社会機構、経済機構、情報機構、そしてこれらが波及して情緒性や、精神生活にまで大きな影響を及ぼすようになり、国家、地域を問わず引金の存在するところ例外もなく内的エントロピーを拡大し、恰も噴出する機会を待っているような社会的様相を示しているように思えます。ここに言う社会的な様相に大きく貢献しているものに「慣れ」があります。「慣れ」の精神的、社会的効用は、現代の人類社会にとっては極めて大きく、ある意味では時として文化の重要な担い手として働き、他方では安穏な社会情勢を形成する大切な重要な素材となっています。
その良さが欠点になって革新的な進歩や人間の新認識獲得にとっては最も重い脚かせになっています。一般的には、その年齢まで生活して得られた獲得形質や慣れが、劇的な変化を拒否する確率を極めて高いものにしている事実に気がつくものは少ないと思われます。その慣れは三次元のものであれば三次元に、四次元のものであれば四次元に形成され、そしてそれらが人間に与えられた本来の霊性や原点復帰力、あるいは知的探求力を失わせてしまう状況に注目するものは同じように少ないものと思われます。 我々の現前には、人類史的な変貌をもたらすだろう科学文明の壮大な波が押し寄せているのですが、日常生活そのものの変貌の大きさに驚き追従してゆくのに手一杯な市民にとってみれば、自らの心理的変貌にさえ注意深い観察を与えることさえできなくなっています。変化の速度が速すぎて内的な対応が困難になっている人々が多くなっているのでしょう。
このようにエポック・メイキングな事象によって人類史的に認知されるのではなく、まさに多くの人々が気づかぬままたいへんな速度でありながら、着実に展開して行った科学技術や技術的革命が、人類の大方の人々の心と言う心を知らぬ間に動かしてしまったのかも知れません。そこで大方の人々は知らぬ間に「茹でカエル状態」になってしまったのかも知れません。ここに気づくに従って急速に拡がってゆくだろう人類の内的なエントロピーの拡大が様々な方位に反応し、変化の様相を理解することが困難な状況が発生することが容易に想定されます。
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