普遍化のすすめ
第1章 実在は一つ「仮説検証による統一的理解」
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2.急変貌する価値観と複合発生する課題
数世紀前からの投資によって、先端的な科学技術を開発維持し縦横に駆使することになった工業国家は、その所得水準を著しく向上し、豊かな経済生活の享受から余裕ある精神活動を継続して、地球環境にも人の基本的人権にも配慮する余裕を持つことになるのは人間として自然の成行きであります。しかし科学技術の具体的な地域展開と生活水準の向上は、地域格差と国家格差を大きく浮き彫りにして、歴史に支えられた関係国家や民族の意識の上に重ね合わせることになりました。
そしてこの格差に起因する差別感から民族意識や人間の尊厳、国境の存在、通貨経済と医療福祉、食糧、水に関する安全保証、あるいは宗教的精神的基盤の崩壊など数え切れないほど多くの国際社会における課題が累積し、復雑に絡まり合って方位なき混乱が世界を覆うことになりました。一般に人間社会では方位なき混沌が続いているうちに、秩序を予感させるいくつかの意志や事象を見聞しながら、自分の認識に同意内容を加えることによって徐々に同意する集団を形成しつつ秩序ある状態に近づいていくという行程をとることが多いように見受けられます。
背景が大きければ混乱は大きくなり混乱から発現する秩序も大きな世界を包有しているのが常です。むしろ集合状態にあった社会がこの混乱という現象を意識の上に乗せて理解してゆく行程は、今後の人類社会にとって極めて重要であり、先賢のたゆまぬ努力によって到達できた数千年に一度の機会と捉えて、真実を求める希有な機会として活用すべき好機として認識しなければならないと思います。
また一方では、物的、環境的有限感の併出があります。過去数百年に亘って継続的に展開した工業化の波は、生産所得の増大、労働意欲の変化等とともに環境汚染、その防止技術の改善、生産コストの限界性へと続き、多くの改良と努力の結果、先進工業社会はなんとかこれを乗り越えてきたし、これからも乗り越えてゆくことはそれほど難しくはないでしょう。しかし先進社会の豊かな生産性を維持することはできても、ここに所属する国民総数は地球人口の三分の一程度であって、途上国や最貧国の人口が先進国並の生活水準を維持しようとしたら化石燃料消費によるエネルギー確保は困難となるばかりでなく、とても地球生態系の維持は不可能となり、自ら招く大きな災害によってスタート時点にまで復帰する以外に対策がないなどという恐れは充分すぎるほどです。
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