地球社会における新文明への耕作活動へ

日本の国際貢献 Japan's international contribution

普遍化のすすめ

終章 地球社会への地平

P67

1.理念的対立から包括的融合へ

 過去2000年という永い間、われわれを包んできた創造性の基本的な放射はわれわれの進化課程として、地域によって異なる反応はあったとしても、心の行程にとってはたいへん思慮深いものだったと思います。遠い過去に将来必要になるだろう肉体機能の完成のための行程を終了し、その制御と情緒体の充分な形成から精神体の制御に向ける行程の序動期に、理想主義的な愛と献身の波動は有効なものであったと思われます。
 人類は理想主義的な波動と献身の波動から生まれた、つらく厳しい戦闘的対立の時代を生き悲しい歴史に刻んで、新しい融合と秩序を求める基本的な波動に包まれる時代を迎えました。その兆候はあちこちに感じられるようになっています。

 確かに基本波動の変化はありましたが、瞥見する程度のわれわれはその変化を実感していませんし、長い人生によって漸くにして獲得した多くの知見や判断力だけが頼りのわれわれは、それ自身が条件つけになって新しい波動に見合う対策にまで手が届かず、世情における理解困難な事象を傍観せざるを得ないのが普通のことだと思われます。過去に活きた波動の影響から脱出することは、輻輳して発生する因我の連鎖からみてもたいへん困難なことですから、世界は暫く混沌を続けることでしょう。
 しかし貿易はもちろん情報も通貨も汚染も環境も、世界は一つになっています。世界の問題として対処するには、過去の数世紀における物的フロンティアで非有限の時代の心をそのままにして、改善を重ねる程度の対策で充分なものになるのででしょうか。過去の数世紀は物的かつ科学的な展開の世紀でしたし、大きな成果をわれわれに与えました。しかし動反動の法則にいう変曲点は既に始まっています。人類における物的な生成発展系の段階としてみれば、今暫くは余香を残しながら継続するだろうフェーズも既に極層を示しています。

 このまま推移するや各国政府は、物的偏極の価値観に心を病んだ多くの諸活動に対する制御の手段を失う事態を迎えるという論調に同意せざるを得なくなるでしょう。地域を問わず国家を問わず新しいエネルギーによる現象だけが先行して、人の心だけが過去の栄光の記憶を引きずっています。物的な価値意識は既に偏極しすぎて社会も経済も政治も病んでおり、期待が持てる目標像を示せなくなっています。未来を指し示す灯台の灯りは見えず世界に充満する混沌は、現象を引き起こす人の心を不安から恐怖へと引いてゆきます。

 警鐘を鳴らす心ある人々も決して少なくはありませんが、具体策として未だ私たちの前には届いていません。包括的融合をもたらす具体的手段がわれわれの目に届いていないだけなのでしょうか。
 素朴な「科学する心」からみれば、科学する前提条件に対して、伝統的とか言いようのない「条件つけ」や「思い込み」が多すぎるように思います。特定の分野を除いて科学は、あらゆる面で解析的だったし真実は何処に求められるかと掘り下げる一般的傾向を持っていたように思います。解析的な研究態度も大切ですが、異質な領域の成果や検証できる知見をもとに、これを新しい科学的規範によって包括的に融合することによって新しい認識を得ることの有効性が新しいエネルギーの時代にとって如何に重要かを示すことによって、地球社会の新しい地平を示し出すことが可能になるように思います。
 われわれがここ数世紀の間に獲得した偉大な知見は今、総合化され包括的な理解に進むことによって、更に有用で広範な新認識としてわれわれ自身の知覚と理解の手段を変化させるために活用されるのを待っています。

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