日本の貢献
『3』現代文明の行方
P13
-科学的背景の変化と歴史的認識
私たちは、このように現代世界に拡がっている、政治的、軍事的、宗教的課題を含めて、絞り込めない何か良く解らない内的停滞感と焦燥感に、強い焦慮の念を禁じ得ない状態にあります。世界には未解決のまま累積する不確実な現象因子に対して、究極の科学に向かっている程度の説明力でも良いから、包括的な視点によってこの停滞感から脱出することが出来るならば、その繰り返したときの成果は、十二分に科学的領域はもちろん哲学的、文化的多領域にわたって躍動感に溢れた文芸復興が行われた過ぎ去った時代に近い状況に再び到達するかも知れないと心躍る気持ちになるのであります。
今のままの客観的な科学領域が、視点を変えて課題に着目することだけから得られる事例と、主観的な科学的定理など究極の科学的定理に向かえるだろう仮説に支えられて、人間の意識や意志の物的現象に関わる問題にまで包括的な理解が進んだときは、地球にすむ人類社会の総体としての意識拡大を可能にする集団的な機会が急接近する可能性があると思うのであります。その後の地球社会的な展開には、長い期間の人類史的な覇権の拡大によって行われていた国際社会の秩序の形成は急速に転換され、目を見張るような大きな模様替えを示すようになるものと思われます。
人間のもつ科学技術の枠組みがはずれて、人間の主観的な理解が科学的判断に加わるようになると、物的な限定に拘らない科学技術の判断能力は一挙に拡大し、地球社会という価値観による社会形成が大変現実的なものとなって実現の運びになるでしょう。その時生まれる地球文明は過去に経験した文芸復興期の変貌とは大きく異なり、人間の本質的な部分における変化を伴うだけに、人類としての集団的視点の移動も本格的なものとなり、意識段階も自己意識から地球規模の段階へ展開することになるでしょう。そのため地球に住む人類社会の創造する新しい文明は、明るく希望に満ちたものになるよう期待されます。
地球人類社会は、始めて哺乳類社会の中で、人間らしい特徴的特性を発揮するようになり、地球生命体と共に生きる人間本来の尊厳ある使命に復権すると思うのであります。こうして人間の尊厳が最も重視される国際的な価値観が徐々に拡大するように、科学的分野の現実的な展開も、社会科学的な現象の理解にも、思想や哲学、或いは宗教的な教義を理解する態度にも大きな貢献を果たすものと思われますし、翻って人間の本質を維持する食料の再配分や、住環境や、教育制度、医療福祉などに関する国際政策が、その変化を自信を持って継続できるようになるものと思われます。
←戻る|目次|つづき→