地球社会における新文明への耕作活動へ

日本の国際貢献 Japan's international contribution

航図なき国際社会の“新フロンティア”-日本の国際貢献

2.専門分化し深化する専門領域

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 このように物質的な利便さに、少しずつ変化していった受けとり方に、自分では気づかぬうちに“茹で蛙”のように人間の心を失ってしまった国際社会は、有限の地球という環境に気づかざるを得ないような多発する災害に、戦くような何かを感じているのは筆者だけではないように思います。この物質的な恩恵である市民生活の利便性は人間の物的生活を豊かにし、人間として生きるために必要とする時間を徐々に縮小して来たことは事実であります。しかし次なる進化が必要とする新知識や思考システムを、新たなる必要領域に拡大して創造して行くためには、人間活動のあちこちに人間の持つ肉体頭脳の機能限界が、垣間見えてくるのであります。
 科学的研究者の生涯にわたる研究の成果は、必要な境界領域の大きさを含んで決定づけられます。高度な視点の目標をもって研究目標を定めた研究者は、目標領域を完熟して理解したうえでそこにある自然の意志を聞く試みを繰り返すのですが、この研究を意義あるものとするには、多くの専門分野の学際領域を習熟した上で目標像に切り込みを入れ、目標を持つ主題に肉薄しなければなりません。高度で広範な領域をもつ研究分野を選択することは、研究者の生涯の成果を決めてしまうことを恐れて、判断している実態が多方面の学術分野で観察されます。
 
 直覚という精緻な波動による天啓のような指導を受けた経験のある科学的研究をするものにとっては、ここにいう背景は適用できませんが、思考する科学的研究者の試行錯誤の繰り返しの中にある日常から見れば、研究目標から思考を切り替えて、頭脳に休養を与える時間を含めないでも、恐らくは懸命な積み上げや集積する情報量、必要なシステムの構築などに肉体頭脳の活用限界が、臨界点に達しつつ科学的研究の成果を求め続けているように思います。
 従って、今生という有限の研究的生涯を成功裏に展開するためには、比較的研究対象の範囲を縮小し、限定されて学際領域を少ししか持っていない目標像を対象にして研究成果を追求するという選択のあり方が、研究者の生涯を決めて行くことは容易に理解されます。

 研究活動が成果を上げ、社会的要請が広範になればなるほど、学際領域は数多く眼前に展開していきます。この様な事態は、物的な研究分野に精神的な領域との因果関係の正当な理解を加えたときは更に厳しさを増し、科学的研究者が担当したいと希望する研究分野の巾は極度に小さくなり、その代わり学際領域の数の多さと包括的理解のための新しい専門分野が生まれてくるはずであります。この傾向は既に医療分野においても認められています。
 内科とつい最近まで言っていた診療部門はいまや十数科の診療専門化によって構成されるようになりましたし、インフォームド・コンセントというような意思の確認や責任の所在が明確にされるようになって、総合医療という視点からは却って新しい問題を伏在させるようにも見えます。
 このように科学技術の進展は、必然性をもって多くの面で人間に更なる問題提起を継続しています。この問題提起は極めて重要な我々に対する進化への道のあり方に対する諮詢であり、次世代にわたって変貌を続ける地球人類の新しい産業分野と国際的分担として、問われている課題の奥にある具体像の方向を嗅ぎ分ける切っ掛けになる可能性を感じます。

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